現場直伝! 「輸液」をミニマム知識で乗り越えよう

1/25/2021
  • 5年生
  • 6年生

こんにちは、テコプラ事務局です。みなさん、輸液は得意ですか?

特に国試を間近に控える受験生のみなさんは、いざ出題された時にどの輸液製剤を選択すべきか不安な方も多いのでは無いでしょうか。今回は、そんな輸液の考え方について、病院で働く先輩直伝の勉強のコツをお伝えします!


こんにちは、現在病院勤務をしているトモアキです。

みなさん、輸液は難しいですよね。私が学生の時も、勉強したものの結局よく分からず何となく過去問を解いていました。

今回、輸液が苦手な方でも国試を乗り越える上で最低限知っておくべきこと、また研修医になってからも使える考え方についてまとめました。ぜひ国試対策にご活用ください。

どこに輸液を入れる?体液コンパートメントのミニマム基礎知識

輸液を学ぶ上で、まず考えるのはどこに」入れるかということ! 体液コンパートメントは3つにわけて、それぞれの特徴を理解しましょう。

細胞内液:体重の40%。文字通り細胞の中のこと。
細胞外液の間質:体重の15%。いわゆるthird space。意味を持たない場所。浮腫、胸水、腹水もここに分類されます。
細胞外液の血管内:体重の5%。心臓から全身をめぐり、全身の細胞に酸素を届ける役割を持ちます。

⇒細胞内液:間質:血管内=8:3:1(やさい)の割合で分布します。

体液コンパートメントについて、教科書を開くとたくさんの記載があると思います。
ここでは必要最低限の知識として、下の4つを押さえましょう!

●細胞外液(間質+血管内)はナトリウム(Na)濃度が高く、血管内はアルブミン(Alb)濃度が高い。
●浮腫や胸水、腹水などは「間質」に分類される。つまり、Na濃度が高い。
●血中のアルブミン濃度が下がると、膠質浸透圧の低下により、血管内⇒間質へ水が移動し、浮腫をきたす。
●Na濃度が下がると、細胞外(間質+血管内)⇒細胞内へ水が移動し、細胞内浮腫をきたす。

なにを入れる? 輸液の組成の基礎知識

「どこに」の知識を押さえたら、次は「なにを」入れるか、つまり輸液製剤の種類について押さえましょう。

●輸液はX号液(X:数字)という形で表記します。Xは、「生理食塩水:5%ブドウ糖液=1:X」で混ぜたものであることを表します。

生理食塩水は細胞外(間質+血管内)に、5%ブドウ糖液は全てのコンパートメントに等しく分布します。これらを組み合わせて、例えば、12mLの各輸液製剤を入れると、各コンパートメントには次の比で分布するようになります。

5%ブドウ糖液を点滴すると、血管内のコンパートメントには輸液した量の12分の1が残ることになります。また、生理食塩水の割合が高ければ高いほど、細胞外に分布する割合が高くなります
●NaCl 1gは17mEq→生食1L中には154÷17=約9gの塩分が入っていることになる点も押さえましょう。

国試関連問題:111H14
(正答率59.3%)

 2,000mLの維持輸液(電解質組成:Na+ 35mEq/L,K+ 20mEq/L,Cl- 35mEq/L)に相当する食塩〈NaCl〉の量に最も近いのはどれか。

 a 2g
 b 4g
 c 6g
 d 8g
 e 10g


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さて、ここまで輸液に関する基礎知識を見てきましたが、具体的にどのような患者さんでどのような輸液を選択するのか、病態別にみていきましょう!

Case Study1―心不全の輸液

心不全の一般的な病態について

心不全患者は一般的に体液過剰状態ですが、有効循環血漿量(血管内コンパートメント)は低下してしまいます。血管内コンパートメントは、全身の細胞に酸素を届ける役割を持つ重要な区画ですから、その低下を補おうとして代償性に以下の反応が起こります。

① アルドステロン合成促進→Na過剰
② ADH分泌促進→自由水過剰→低Na血症

輸液製剤の選択

低ナトリウム血症の場合と血中ナトリウム濃度正常の場合に分けて考えてみましょう。

低ナトリウム血症の場合
心不全患者はADH分泌促進に伴う自由水増加により、低ナトリウム血症を合併することが少なくありません。低ナトリウム血症を認めた際は、①生食(or高張生食)で静脈路を確保し、②トルバプタン(バソプレシン受容体拮抗薬)などで自由水を排出します。

輸液の例:生理食塩水(or高張生理食塩水)

血中ナトリウム濃度正常の場合
基本的に心不全患者は体液過剰状態のため、輸液はコンパートメントを補給する目的ではなく、静脈路確保目的に行うことが多いです。血中Na濃度が正常であれば、Naフリーの5%ブドウ糖液や、血中K濃度に応じて3号液を選択します。(心不全患者では不整脈が生じやすいため、特に低K血症には注意が必要です。)

輸液の例:5%ブドウ糖液 500ml/day

血中ナトリウム濃度不明の場合
救急外来などでまだ血液検査結果が出ていない患者には、5%ブドウ糖液などで静脈路を確保するのみに留めておくのが無難です。

国試関連問題:108F9
(正答率87.8%)

 救急外来で点滴を行う場合の患者の年齢,病態,輸液製剤および注射針の種類の組合せで適切なのはどれか。


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Case Stydy1-心不全の輸液のポイント
1.電解質(Na, K)をチェックして、結果に応じた輸液を選択しよう!
2.基本的に体液過剰の場合が多いので、輸液過剰負荷に注意!

次回はCase Studyの続きをお届けします!

▶▶次回予告
✓Case Study2-腎不全の輸液
✓Case Study3-肝不全の輸液
✓Case Study4-絶食時の輸液

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